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英語が苦手な主婦のアメリカでの子育て奮闘記


by Bocce
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アメリカの葬儀

初めてアメリカの葬儀に参列しました。
日本と同じで、亡くなった翌日に告別式、2日後に葬式になります。
宗派や家族によって多少異なると思いますが、とてもシンプルでいい葬儀でした。

おばあさんが亡くなった日の夜に義祖父母の家に着いたのですが、スライドショーの為の写真選びでみんな大忙しでした。
3人の子供、4人の孫、1人の曾孫に恵まれたおばあさんは、大量の写真を持っていたので、その中から写真を選ぶのは大仕事。
おばあさんはとにかく綺麗な人で、若い頃の写真を見て「女優のように綺麗ね」と私が言うと、お義母さんが「NYでモデルをしていた時の写真ね」と教えてくれました。
え??? モデルだったの??? どおりで綺麗なはずです。
選んだ写真をスキャンして、葬儀屋がDVDを作成し、告別式の間ずっと映像をながしていました。
写真だけでなくBGM(音楽)とヨーロッパの山の映像も間に入っています。
フォーマットは出来ていて、そこにスキャンした写真を入れ込むだけのようですが、この短時間にパッケージまで印刷してDVDにしてしまうのが凄いです。
コピーが欲しい人には1枚$25で販売。

葬式の前日に牧師さんが家に来て、葬式の打合せをします。
聖書のどのくだりを読むのか、どの賛美歌を歌うのか、おばあさんはどんな人だったのか。
おばあさんはFamily Bible(家庭用大型聖書)を持っていて、そこに家族の歴史を記していました。
間に写真や手紙、新聞の切り抜きなどが挟まれていて、おばあさんがどれだけ家族を大切にしていたかが伺えます。
牧師さんは感銘を受けて、ぜひその一部を読み上げるべきだと勧め、おばあさんの次男が読むことになりました。

以前、おばあさんが私に言ったことがあります。
「あなたが専業主婦という大変な仕事を選んでくれて嬉しいわ。子供を育てあげると言うことは素晴らしい仕事よ。」
私は専業主婦であることに迷いがあったので、その言葉で救われると同時に、おばあさんが誇りを持って専業主婦をしていたと分かりました。
おばあさんは家族みんなによく電話をかけました。
旦那とも2~3ヶ月に1回ぐらいの割合で1時間ほどおしゃべりします。
私は自分のおばあさんと電話でおしゃべりしたことなど無いので、とても羨ましく思いました。
おばあさんは家族の中心でした。

告別式、葬式の日時は葬儀屋が新聞に載せてくれるので、それを見て友達や近所の人が来ます。
アメリカは喪服にこだわらないので、結構カラフルでした。
お義母さんもおばあさんが好きだった赤いワンピースを着て参列。
葬儀屋のスタッフも明るいグレーのスーツ姿。
ただでさえ悲しいのに全員喪服の日本の葬式は陰陰滅滅たる雰囲気で、アメリカの方がいいなぁと思いました。
でも、日本人の私は葬儀に黒以外の色の服を着るのは気が惹けて、やっぱり黒のワンピースを着用。
息子は黒い服を持っていないので、紺の服を着せました。

アメリカでは遺体は家には戻さず、直接葬儀屋に運ばれるようです。
旦那と私は告別式で初めて亡くなった後のおばあさんに会いました。
綺麗に化粧をされたおばあさんは、まるで眠っているようです。
もう2度とこの目は開かないんだと思うと、とても悲しくなりました。
おばあさんの薄いピンクのスーツは大きすぎて、まるで借り物のようです。
先月会った時よりさらに痩せていて、とても痛々しく思いました。
去年から腰痛がひどくなり、どんどん食欲をなくしていったおばあさん。
それまで医者いらずで、元気で溌剌としていました。
様々な検査をし、MRIも撮ったけど特に異常は見つからず、亡くなる前日に倒れたときも検査は異常なしでした。
結局、はっきりとした死因は分からず、解剖してまで死因を明らかにする必要はないので謎のままです。

葬儀屋での葬式は1時間ほどで終わり、その後、棺は6人の遺族の手で霊柩車に運びこまれます。
その霊柩車のあとを遺族や友達の車が何台も連なってお墓に移動するので、パトカーが出動して先導していました。
これも警察官の仕事のひとつなんて、ちょっと驚きです。
この行列を見た対向車はすべて、車を停止させていました。
そういう交通ルールはないけれど、それが礼儀だそうです。
車社会のアメリカならではだと思いました。

お墓ではすでに墓穴が掘られていて、そのうえに棺を下ろす機械が設置され、6人の遺族の手で棺をその機械の上に乗せました。
棺のまわりでしばらくおばあさんの思い出話などをし、「では、そろそろ・・・。」というので棺を下ろして埋めるのかと思ったら、棺はそのままでみんな車に乗って墓場を去り始めました。
後には葬儀屋のスタッフだけが残り、彼らの手で埋葬されるらしいです。
ちょっとあっけない気もしましたが、おばあさんが埋められるのを見るのは忍びないので、この方がいいなと思いました。

この悲しみの中で、誰もが息子の存在に救われていました。
あどけなく笑う赤ちゃんというのは、素晴らしい癒しです。
おばあさんの血を受け継ぐ息子は、未来であり、おばあさんの生きた証でもあります。
おばあさんのお友達からも、おばあさんがどんなに息子の誕生を喜んでいたか聞いて、息子を授かることができて本当に良かったと思いました。
by bocce | 2009-07-25 16:32 | アメリカ生活